リブセンス社長村上太一さん「与沢 翼さんはオフィスが隣」(4)

副業のヒント

最終回4回目になりました、リブセンス社長、むらかみさんへのBP社のインタビューを転載させていただいています。

インタビュアーが、しきりにあらゆる面から村上さんを質問していかれていますが、ご自身の言葉で答えていらっしゃいます。 それは、積み上げてきて、そして、どんどんいいものに変えて行かれた柔軟性のように感じました。

「何も持っていなければ、何でも捨てて、変えられる」 ということがはっきりということができるということが、村上さんが現場でやっていらして身につけたことだったのですね。

学ぶことばかりのインタビュー記事、日経BP社のみなさま、ありがとうございました。

ネオヒルズ族の与沢 翼さんが、第2回の早稲田の起業家コンテストの優秀者です。

第1回めの村上さんのとなりのオフィスで懸命に頑張っていらした姿など、私の知らない面を教えていただけました。 与沢 翼さんは、いかにも村上さんとは対極にある感じと思っていましたが、全然!  お互いに遅くまで頑張っていらしたというエピソードを知りました。 また、与沢さんがマスコミに出ていらしゃるのは、「なにか意味があること」という村上さんの話でした。

実際、2013年の終わり頃に、与沢さんのYOU TUBEをみましたら、すべて「演出された」ものだったと話されていました。 本来は自分は着るものもある物で十分だし華やかなものはしたいと思っていないと語られていました。

与沢さん自身のYOU TUBEでの謙虚な姿勢と、マスコミが取り上げるものとのギャップにどっちがどっち? と思っていた私には、新鮮に映りました。

古市:それにしても村上さん、本当に、黒いところが全然ないですね。アラフィフの編集者さんが、横でしきりに首を捻っていますが(笑)。

編集Y:うん、お話を聞いていると、欲望がすべて好奇心と自己管理に向いているような気がします。

村上:(笑いながら)どうですかね。

古市:ちょっと毒舌なところはありますが、この本(『リブセンス<生きる意味>: 25歳の最年少上場社長 村上太一の人を幸せにする仕事 』/日経BP社)を読んで「すごい人だな」と思ったんです。でも、「すごい人」というのは、たいてい二面性がある印象を持っていました。でも、村上さんはそうではなくて、普通に本当に好青年だからどうしよう、という感じです(笑)。

村上:でも私は厳しい時は厳しいですよ。例えばIR資料を作る時なんて、IR担当に初めは呆れられたくらいですから。私の指示は細かいんです。スライドでページをめくっていくと、くっと動く。若干でもずれるのが嫌ですし、横のラインがきれいかとか気になるから、本当に微に入り細に入り。

村上太一(むらかみ・たいち)
リブセンス社長。東京出身。小学生のころに起業を決意、高校在学中に準備を開始し簿記二級、情報処理技術者試験などを取得。早稲田大学政治経済学部在学中、リブセンスを設立。求人ウェブサイト「ジョブセンス 」を立ち上げる。同社を創業2年で黒字化させ、当時史上最年少の25歳1か月で東証マザーズに上場を果たした。(撮影・大槻純一 以下同)

古市:ただ、そういう細かい部分で「それっぽさ」を醸し出す。そうしたところが大切だと、どうやって気づいたんですか。

村上:誰かに軽い調子で言われて、「ああ、そうか」と思いました。創業時、営業に行くと、同席してくださった方や紹介してくれた人に「今の私の営業、どう思いましたか」と訊ねたんです。私は緊張すると貧乏ゆすりをする癖があって、それが相手に見えて印象が良くなかったとか、細かい点を指摘してもらいました。そういうのを繰り返していくと、徐々にいろんなことがわかってくる。

古市:それができるのは、やっぱりタフだからですよ。

何も持っていなければ、何でも捨てて、変えられる
村上:何かを良くしたいと思ったら、ダメだと言われたことを直すほうが健全だし、私には何もなかったから、むしろ直しやすかったですよ。

古市:ああ、持っているものがなかったから。

村上:例えば40歳になった人はなかなか変わりにくいと思いますが、それは40年間積み重ねてきたものを変えることが自己否定のように感じるからではないでしょうか。社会に入ってやってきたこの20年間、何だったんだろう?という気持ち。だけど、私は何もなかったから、いくらでも変えられました。

古市憲寿さん(プロフィールはこちら )
古市:なるほど、それも若くして起業することの大きなメリットかもしれないですね。

村上:もちろん、歳を重ねても変えられる人はいますが、良いも悪いも知らないまっさらな状況のほうが吸収はしやすい。

古市:起業されて、村上さんは本当に変わったんですね。

村上:そうですね。1年前とも違うと言われますけれど。昔はもう少し堅かったと思います。ステージによって変えているという意識ですが、変わったのか変えられたのか、実は曖昧です。

村上:今は、「自分で選択した」という考えを持ったほうが良いアウトプットが出るんだな、と社員たちを見て思っています。こうやれ、と言われてその通りにやるより、ちょっとダメでも言わないでおいて、自分の好きにやったほうがやる気が出て、責任感も強くなる。仕事を「自分のもの」と意識する。そのほうが成果が出るとわかりました。

古市:でも、そうなると、自分の作った会社からの疎外感というか、ちょっと寂しくなったりしませんか。

村上:ああ、そういうこと言われる方いらっしゃいますよね。私はあまりないですね。

古市:創業時のお金がない中でみんなでやっていた感じが楽しかった、と振り返る社長とかいますよね。

村上:その時、その時を楽しめるタイプなので。そういえば、とある研修で、トイレを何か月か磨き続けたことがあるんですよ。

古市:それはどのタイミングで?

村上:大学時代です。哲学研修のようなものに参加して。毎日同じことをし続ける中で喜びを見出す、という研修。

やってみると、何かに気付こうと思えば確かに気づけるんですよ。磨けていない場所を発見して、それを「磨けていない場所があったから磨く」と考えるか、「自分が完璧と思った先にもまだ先がある」という普遍的な気づきを得るか。あらゆる経験をプラスに変えよう、という軸があると思います。

古市:なるほど、面白いですね。

村上:楽しくないことも、何かにつながる。

古市:角度を変えて見る、ということですね。

自己啓発系の研修も行ってみましたよ
村上:あの「楽しくない」はこのためにあったのか!と思うこともありました。平等に与えられたチャンスをつかめるマインドを持てるかどうかがキーになると。

古市:そうした研修にはいろいろ参加したんですか。

村上:一時期、よく参加しました。真っ暗闇で叫んで、全員で号泣するとか。

古市:ええっ。

村上:そんなちょっと危険な感じのものも。

古市:自己啓発的な研修もやってみた。

村上:知人が良いと言っていたので、やってみました。

古市:良かったですか。

村上:良かったですよ。

古市:へえ。それも大学時代ですか。

村上:大学時代です。

古市:そういう研修ってお金もかかるでしょう?

村上:かかりますが、投資と思って。従業員も行きました。

古市:それは今でも糧になっていますか。

村上:私は一時期、心理学系のテーマを深堀りしたんですが、そうした研修で潜在意識の使い方などを学びました。そこから、行動心理学などもかじって、今にいたる知識のベースをつくるきっかけのひとつにはなったと思います。

古市:はあ……面白いなあ。では、今一番関心があることはなんですか。

村上:またちょっと危険かもしれませんが、瞑想やヨガを試してみようと思って、本をいっぱい買ってあります。スティーブ・ジョブズもやっていましたよね。

古市:やっていましたね。起業家で瞑想やヨガといったスピリチュアルが好きな人、結構多いですが、なぜなんでしょうね。

村上:なぜなんでしょうね。私もまだ試していないのでわかりませんが。本を読み始めたら、ハマるのかもしれない。

古市:ヨガで人生観が変わったという人、いますからね。なぜヨガや瞑想に手を伸ばそうと思ったんですか。

村上:それは好奇心旺盛なので、ジョブズがやっていたというなら、じゃあそっちの世界も見てみよう、という興味です。なぜそっちの世界に行くのか、それが知りたい。

古市:尊敬する起業家は、やっぱりジョブズですか。

村上:そういうわけでもないんです。尊敬する人は誰、というのはまだ決めていません。それを決めるだけ、人を理解しきれていないところもあると思いますから。

理解レベルも年齢を重ねるにしたがって、変わってくると思いますし、今の段階で「尊敬する人はこの人」と決められる知識を、私自身がまだまだ持てていません。

古市:いやあ、本当に村上さんは柔軟ですね。凝り固まっていない。

村上:良くも悪くも柔軟です。一応、ピシッとした軸はあると思いますが、周辺領域が広いんです。でも、これからはもう少し狭めていく作業をやっていくだろうと思います。

古市:すごいなあ。世間が望む「20代の起業家」を演じているみたいな感じがします。でも、演じていないですよね。

村上:演じていないですよ(笑)。素でこんな感じです。

大学時代、与沢翼さんはオフィスが隣でした
古市:今世間が求めている若者像、起業家像とナチュラルに合致しているんだなあ、という印象を強く持ちました。

村上:どうですかねえ。世間はもっと、与沢翼さんみたいな起業家を求めているかも。

古市:急に与沢さんって(笑)。

村上:私は、彼のああいう感じもいいと思うんですよね。

古市:対極という感じがしますが。

村上:いろいろな人がいていいと思うんです。いろいろなものがあって、いろいろなものが見えているほうがいい。皆が望んでいるものが一個じゃないほうがいいと思うんですよね。

古市:確かに、それはそうですね。与沢さんも面白い。

村上:そうなんですよ。与沢さんはオフィスが隣でした。早稲田時代、私が起業家コンテストの第一回の優勝者で、第二回が与沢さんで。

古市:早稲田はそんな極と極を選んだんだ。すごい才能を発掘しているなあ。与沢さんも村上さんのように、オフィスを借りる権利を得て隣だったんですか。

村上:そうです。でもまあ、やっぱり、与沢さんは当時からちょっと違うな、という感じはしましたけれど(笑)。

古市:与沢さんは村上さんが要らないものをいっぱい持っているじゃないですか。高級車とか高級マンションとか。

村上:彼も、意識して「見せて」いるんだと思います。根っからああいう感じではない気がしますよ。

古市:最年少上場企業社長と、世間を騒がせるネオヒルズ。幅が広いですね。両極端すぎて重なる部分がなさそうですが、でも考えて見ると、お二人とも実直に自らの指針に基づいて仕事をしている。

村上:隣のオフィスで夜中まで灯りがついていて、「ああ、与沢さん、今日もやっているな」と思っていました。

古市:へえ、興味深いエピソードですね。与沢さんか……。与沢さんのインパクトで、質問しようと思っていたことが飛んじゃった(笑)。じゃあ、メインのインタビューはここまでにして、今回、皆さんに答えていただきたいアンケートがあるので、お手数ですが、今ここでやっていただけますか。

村上:わかりました。

(サクサクとアンケート用紙に印をつけていく村上さん)

古市:印象深かった質問、答えにくかった質問はありましたか。

村上:自分が接している世界は狭いなあ、と思いました。仲良くなっている人たちは、すごく狭いコミュニティなんだな、と。

古市:例えば、ニートやワーキングプアがまわりにいない、とか?

村上:そうですね。厳密に探せばいるんでしょうが、パッと思い浮かばなかったです。

古市:ニートについて「とても問題だと思う」にマルがついていますね。

「辞める」選択肢はないほうが幸せ
村上:まあ、働いたほうがいいですよね。ベーシックインカムがどうというより、私は働くことで人は何かいいものがあれば磨かれていき、生き方を豊かにすると思っています。

古市:「一つの企業に長く勤めるほうがよい」も「そう思う」にマルですね。

村上:私は辞めるという選択肢を持たないほうが幸せだと思うんですよ。もちろん、ケースバイケースですよ。だけど、迷いって人を苦しめるような気がする。会社を辞めるかどうか一瞬でも迷った時期が私も一番苦しかったから、そう思うんです。

古市:やると決めたら、それに向かって前に進めばいいだけだから。

村上:そのほうが健全な気がします。いつまでにやり切るぞと明確に決めて辞める選択肢もあると思いますが、辞める選択肢を考えずに迷わないほうがいいな、と思った。それくらいの温度感からの回答です。

古市:これから私生活でやりたいことはありますか。さっきからお話を聞いていると、そもそも生活があまりない気もしますが(笑)。

村上:そうですね。テレビも持っていませんし。地デジ対応していない人間です(笑)。

編:テレビすらお持ちじゃないと。うわぁ…(ため息)。
村上:でも、ももクロのコンサートは一度行ってみたくて、この前、チャレンジしたんですが、チケットがなかなかとれなくて。

古市:ももクロですか。それなら僕、関係者に仲が良い人がたくさんいるので、なんとかなると思います。

村上:本当ですか?

古市:僕も一度も行ったことがなかったから、一緒に行きましょうか。

村上:ありがとうございます。

古市:次回の約束がまさかのももクロライブになりそうですが、ももクロ、好きなんですか?

村上:好きというわけでもないんですが、これだけファンがいるアイドルですから、一度、観てみたいです。

古市:それも好奇心からの体験ですね。

ハマったことはないけれど、見てみたい
村上:そうですね。だから、最近他にもライブで観てみたいシリーズがありまして、地下アイドルでアリス十番というのも観たいです。

古市:地下アイドルのアリス十番?

村上:知人の知人が事務所の社長をやっているんです。そういう世界があるなら観てみたい。いろいろな世界を見て、いろいろな視点を持たないと、より良いサービスは作れないと思いますから。

古市:それも勉強の一環ですか。

村上:社会見学です。

古市:今までアイドルにハマったことはないんですか。

村上:ないです。

古市:でも、AKB48や少女時代もインテリがハマっていますから、村上さんもハマるかもしれないですよ。じゃあ、本当にぜひ、ももクロのライブで再会しましょう。今日はありがとうございました。

村上:こちらこそ、ありがとうございました。

村上社長にワークスタイルを質問!

【問】下のa~gには、人生や仕事についての様々な状況があげてあります。それぞれについてあなたにどの程度あてはまるか、最も近い番号1つに○をつけて下さい。

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【問】あなたは、将来または現在の職業生活や人間関係などについてどのように考えていますか。それぞれについて、最も近い番号1つに○をつけて下さい。

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【問】次のa~dの問題それぞれに対して、1:あなたはどのようにお感じですか。2:あなたご自身はその問題に直面したことがありますか。3:身近にその問題を抱えている方はいらっしゃいますか。あてはまる番号1つにそれぞれ○をつけて下さい。

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※設問は労働政策研究・研修機構「第3回 若者のワークスタイル調査」(2012.4.23)より

◆あとがき◆

村上さんのことは著書でその存在を知っていた。素敵な笑顔の表紙が目印の『リブセンス<生きる意味>:25歳の最年少上場社長 村上太一の人を幸せにする仕事 』。この笑顔は営業スマイルなのか、それとも本当の笑顔なのか。会うまではどちらかわからなかった。
結果は圧倒的後者。

どんな質問にもすぐに的確な答えを返してくれるのだけど、決してロボットのような返答ではない。合理性と人間味のバランスが絶妙なのだ。そういう人と話すのは楽しい。まるでスポーツをしているような気分になる(スポーツしないけど)。

内容も面白かった。モノを買わない、でも仲間を大切にするとかすごく「イマドキ」なのだけど、きちんと経営者の顔も持っている。社会起業家とは違うかも知れない。でも、きちんと「社会」のことを考えている。おじさんに好かれるだろうなあ。今度は、そういったおじさんに好かれる術について聞いてみたい。

(古市 憲寿)